Vol.6 おくびょうなジンジャーマン
ヨールカのためにジンジャークッキーを作ることにしたダヤンとウィリーは、朝からうきうきしていました。まず始めに小麦粉にシナモン、砂糖、そしてジンジャーをたっぷり入れてよくふるいます。バターをクリーム状になるまで練ったら、はちみつや砂糖、卵、それにもう一度ジンジャーを加え、最初にふるった小麦粉を混ぜ合わせるのです。これで、練り粉の出来上がり。寒い表に出して、一時間ほど生地を寝かせ、後は好きな形にしてオーブンで焼くばかりとなりました。 |
練り粉を寝かせているほんの一時間の内に、ダヤンはすっかりお腹が空いてきました。そのせいでしょうか、今までウィリーとほんとに仲良くクッキーを焼く準備をしていたのにダヤンたら、知らず知らずにねずみの形を作っているではありませんか。ほら、くずれないようにしっぽを巻き込んだりして。ウィリーは、急に気分がすぐれなくなってきました。なんだかいやーな感じです。ウィリーはぶるぶるっと身震いをすると、気を取り直して練り粉でジンジャーマンを作ることにしましたが、一番最初のやつだけは、 |
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とてもおくびょうに出来てしまいました。仲間と一緒に並んでいたおくびょうなジンジャーマンは、焼かれるのがこわくなり、ウィリーがオーブンに入れる天板にみんなを移し変えているすきに、開いていた窓から飛び出しました。
地面にはつい先だって降った雪がうっすらと積もっていましたが、やわらかい練り粉のままのジンジャーマンは、思わず膝を突いてしまいました。おまけにくしゃみをすると、まあるい鼻もあらかた取れて、おくびょうなジンジャーマンはとうとうそのまま座り込んでしまいました。 |
部屋の中はクッキーの焼けるいい匂いが立ち込めて、ほとほとお腹の空いたダヤンは外の空気を嗅ごうと窓から顔を出し、思案深げに座り込んでいるジンジャーマンを見つけました。ダヤンはすっかり固くなったジンジャーマンを雪の上からすくいとり、頭のてっぺんに穴をあけてツリーに飾りました。座ったままのジンジャーマンはとても風変わりで、ぽっちりとした鼻にはなんとも言えない愛敬があります。
日が落ちて、ジンジャークッキーはどれもおいしく焼き上がり、ウィリーの気分もダヤンのお腹も収まりました。ツリーの上でゆれているジンジャーマンにも、もう焼かれる心配はありません。 |
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