
Vol.4 ダヤンのたんじょうび
7月7日の11時。なにか特別の日だという事は分かるのですが、頭にモヤがかかっ
たようでいまひとつ判然としません。
ワクワクとかワーイとかいった楽しそうなイメージと、ウヒャーとかシマッタとかの心臓
に悪いイメージが重なって、ダヤンは次第にいてもたってもいられなくなりました。何か手が
かりはないかとタシルの街に偵察に出かけたダヤンは、街はずれでリスの奥さんに逢いました。
「あらまあダヤン、久し振り。7日は楽しみにしていますよ。」めったに会わないリスの奥さんに親し
げに声をかけられ、ダヤンはおもわず「えーえー、ぼくも。」と答えてしまいました。はて、何が楽し
みなのでしょう。さらに行くと、今度はカドリーがやって来ました。今日はめずらしい奴にばかり会う日です。
「よおダヤン、今年は大丈夫かい?まあ俺は少し位荒れるのもきらいじゃないけど。」
えっ?荒れる?ダヤンの頭の中はますます混乱してきました。
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とにかくエルタシル郵便局まで行ってみようと、ダヤンが道を急いでいると
マーシィやイワン、ジタンといった仲間たちが四辻の真ん中で額を合わせ話し
込んでいます。そして、マーシィがこう言っているのが聞こえました。
「だけどもう招待状はだしたのかしら」「招待状って何さ。」ダヤンが話しかけると、みんなびっくりして飛び上がりました。
「やーね、ダヤンたら驚かして。どこに行くの?」「ちょっとエルタシル郵便局まで。」「なあんだ心
配する事なかったわね。」「なにがさ?」「いいの、
いいの。早く郵便局に行ってらっしゃい。」マー
シィに背中を押されて、ダヤンは首をひねりなが
ら郵便局に向かいました。やっぱり謎ときの鍵は
郵便局にあるようです。
エルタシル郵便局では、ギブとボーンが退屈そ
うに座っているだけでお客は誰も居ません。ダヤ
ンが入っていくと、ギブが勢いよく立ち上がって
「遅いじゃないか。心配したよ。」と手を差し出し
ます。ダヤンが握手をしようと手を出すと、ギブ
はいらだったようにこう言いました。「ちがう、
ちがう、きみのたんじょうびの招待状だよ。」こう
してダヤンは7月7日が何の日かすっかりと思い出
し、ついでに招待状はおろかパーティの支度も何
もしていない事も思い出し、一瞬思い出したこと
を後悔したのでした。 |
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