Vol.5 きつねの森
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きつねのフーピーにはたくさんの家族がいます。一緒に住んでいるのはじいちゃんとばあちゃん、お父さんにお母さん、 それに兄弟がほんの15匹程。でも一緒に住んでいようがいまいが、きつねの森がひとつの大きな家で、そこに住むものは みんな家族なのです。いい事がたくさんあります。何か困った時は、相談相手がそれこそ火にくべるほど居ましたし、病気でも した日にはお見舞いで寝ている暇も有りません。
けれども、9月の少し肌寒くなってきたその日だけは、フーピーは誰にも邪魔をされたくありませんでした。 連れて行くのは、すぐ下の弟トスティだけと決めてあります。行き先はきつねの森のはずれにある小さな泉です。 そのまわりにはひとかたまりのジャスミンが群生しているのです。夜ふけを待ってトスティとベッドを抜け出た フーピーの耳には、タシルの街での立ち聞きが甦ってきました。
「イワンが言ってた、、、ジャスミンの花が一斉に、、、季節外れ」
「銀色の月の光で、、、 きつねの森、、、だれも見た事がないらしい」
これはもう絶対!誰が何て言ったって!あの泉しかありません!フーピーは大急ぎで家に帰り、大急ぎで晩御飯を食べ、大急ぎでベッドに 入ったその途中のどこかで、目ざとい弟のトスティにつかまってしまったのです。2匹は夜の影を縫う
ように木立から木立へ、心臓はもうバクバクと破裂しそうです。夜霧が降りてきて、辺りはミルクを溶かし込んだ ようです。そして、とうとうミルク色の霧の中にぼうっと白い塊が浮かび上がってきました。フーピーはトスティ の手を握り締めました。あたたかく、少しふるえているトスティの手は、これが夢ではない事を教えてくれました。 そこには確かに銀色の月に照らされて、ジャスミンの高貴な白い花が咲き誇っていました。辺り一面ジャスミン の香りでむせ返るようです。2匹は手をつないだまま、いつまでも立っていました。 それが秋の始まりを告げる、きつねの森の秘密の出来事でした。
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ダヤンは私の水先案内ネコだった
作家・池田あきこ近況報告
RIEピョンの「動物キーホルダー」
わちふぃーるど秋のお祭り
Cat's Convention
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